毎年秋になると、会社から配られる年末調整の書類。「名前だけ書いて出している」「何を書けばいいのかよくわからない」という方は多いのではないでしょうか。
でも、ここを正しく書くだけで数万円の税金が戻ってくることがあります。この記事では、年末調整の仕組みと書類の書き方を、はじめての方向けにやさしく解説します。
✔ この記事でわかること
- 年末調整とは何か、なぜお金が戻るのか
- 配られる書類の種類と、それぞれ何を書くか
- 書き忘れると損をする控除
- よくある間違いと、その防ぎ方
✔ この記事の結論
- 年末調整は「払いすぎた税金を精算する手続き」。多くの人はお金が戻る
- 書類は主に3種類。それぞれ役割が違う
- 生命保険・地震保険・iDeCoの証明書は必ず添付する
- ふるさと納税と医療費控除は年末調整では手続きできない
- 間違えても、あとから確定申告でやり直せる
年末調整とは?なぜお金が戻るのか
会社員の方は、毎月の給料から所得税が天引きされています。ただ、この金額は「たぶんこれくらいだろう」という概算で計算されています。
実際の税額は、家族構成や払った保険料などによって変わります。その差額を年末に精算するのが「年末調整」です。
💡 ざっくり言うと:毎月は多めに預けておいて、年末に「使わなかった分を返してもらう」イメージです。だから多くの人は12月や1月の給料でお金が戻ってきます。
【重要】令和8年分から基礎控除などが変わります
📢 今年の年末調整から改正が適用されます
令和8年度の税制改正により、所得税の基礎控除の引き上げ、給与所得控除の最低保障額の引き上げ、扶養親族等の所得要件の改正などが行われました。
この改正は令和8年12月1日に施行され、令和8年12月に行う年末調整から適用されます。書類の様式も変更されているため、去年と見た目が違っても慌てないでください。
※改正の詳しい内容は国税庁のサイトで確認できます。基本的な書き方の流れは変わりませんので、この記事の内容はそのまま参考にしていただけます。
配られる書類は主に3種類
会社によって名称や枚数が異なりますが、基本は次の3つです。
1枚目扶養控除等(異動)申告書
誰を扶養しているかを申告する書類です。年末調整を受けるすべての人が提出します。
書くこと:自分の氏名・住所・マイナンバー、配偶者や子ども・親などの扶養家族の情報
💡 実はこの書類、「来年分」を今提出するケースが多いです。会社によっては今年分と来年分の2枚を同時に配られることもあります。日付をよく確認してください。
2枚目基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 …(長い名前の書類)
正式には「基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」という、複数の控除がひとつになった書類です。
書くこと:自分の年収の見込み、配偶者の年収の見込みなど
💡 名前が長くて身構えますが、要するに「あなたと配偶者の収入はいくらですか?」を書く紙です。給与明細や去年の源泉徴収票を見ながら、おおよその金額を書けば大丈夫です。
3枚目保険料控除申告書
ここが一番お金に直結します。払った保険料などを申告して、税金を減らす書類です。
書くこと:生命保険料、地震保険料、社会保険料(自分で払った分)、小規模企業共済等掛金(iDeCoなど)
3枚目が一番大事:忘れずに申告したい控除
| 控除の種類 | 対象になるもの | 必要なもの |
|---|---|---|
| 生命保険料控除 | 生命保険、医療保険、個人年金保険 | 保険会社から届く証明書 |
| 地震保険料控除 | 地震保険 | 保険会社から届く証明書 |
| 社会保険料控除 | 自分で払った国民年金・国民健康保険 (家族の分を払った場合も含む) | 控除証明書 |
| 小規模企業共済等掛金控除 | iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金 | 国民年金基金連合会からの証明書 |
⚠️ 証明書は10月ごろに届きます。捨てないでください!
「保険料控除証明書」という書類が、保険会社などから郵送されてきます。これがないと控除が受けられません。ハガキ型のこともあるので、DMと間違えて捨てないよう注意してください。
紛失した場合は、保険会社に連絡すれば再発行してもらえます(時間がかかるので早めに)。
意外と見落とされる「家族の社会保険料」
次のようなケースは、自分の控除にできます。
- 子どもが20歳になり、親が国民年金保険料を代わりに払った
- 親の国民健康保険料を負担した
例:大学生の子どもの国民年金保険料(年間約20万円)を親が払った場合
→ 親の社会保険料控除に含められ、税金が安くなります
年末調整ではできない手続き
次の2つは、年末調整では手続きできません。自分で確定申告が必要です。
| 手続き | 方法 |
|---|---|
| 医療費控除 | 確定申告のみ(年間の医療費が多かった年) |
| ふるさと納税 | ワンストップ特例、または確定申告 |
| 住宅ローン控除の1年目 | 初年度は確定申告。2年目以降は年末調整でOK |
医療費控除については医療費控除と高額療養費制度の違いの記事、ふるさと納税についてはふるさと納税の記事で詳しく解説しています。
よくある間違い5つ
- 証明書を添付し忘れる
書いただけでは認められません。原本の添付が必要です - 配偶者の収入を書き間違える
「見込み」でよいですが、大きくずれると後で修正が必要になります - 年の途中で扶養家族が増減したのに書かない
出産、就職、親の扶養に入れたなど、変化があれば必ず反映を - iDeCoの掛金を書き忘れる
証明書が届いているのに、保険料と別枠なので見落としやすいです - そもそも提出しない
出さないと控除が一切受けられません。書けない欄があっても、まず提出を
もし間違えてしまったら
💡 安心してください。あとから直せます。
- 会社の締め切り前 → 総務・経理に申し出れば修正できます
- 締め切り後・年明け → 自分で確定申告をすれば精算できます(5年前までさかのぼれます)
「書き忘れたから今年はあきらめる」必要はありません。控除の申告漏れに気づいたら、確定申告で取り戻しましょう。
よくある質問
Q1:年末調整をするとお金は必ず戻りますか?
A:多くの方は戻りますが、逆に追加で徴収されることもあります。年の途中で扶養家族が減った場合などです。「必ず戻る」ものではありません。
Q2:転職した場合はどうすればいい?
A:前の会社の源泉徴収票を新しい会社に提出すれば、まとめて年末調整してもらえます。間に合わなかった場合は確定申告で対応します。
Q3:副業がある場合は?
A:本業では年末調整を受け、副業分は別途確定申告が必要です(一定額を超える場合)。
Q4:ふるさと納税をしたら年末調整で申告するの?
A:いいえ。年末調整では扱いません。ワンストップ特例(翌年1月10日必着)か、確定申告で手続きしてください。
Q5:書類が難しくて書けません
A:会社の総務・経理に聞くのが一番早くて確実です。毎年多くの人が同じところでつまずくので、遠慮なく相談してください。
ポイント&まとめ
- 年末調整は「払いすぎた税金を精算する手続き」
- 書類は主に3種類。特に保険料控除申告書がお金に直結する
- 10月ごろ届く控除証明書は絶対に捨てない
- 家族の国民年金・国民健康保険を払った分も控除できる
- 医療費控除・ふるさと納税は年末調整ではできない
- 間違えても確定申告でやり直せる(5年前までさかのぼれる)
- 令和8年分から基礎控除などが改正。様式が変わっても書き方の流れは同じ
年末調整は「面倒な書類仕事」ではなく、正しく書けばお金が戻る手続きです。証明書を手元に用意して、落ち着いて記入してみてください。
【出典】国税庁
- No.2665 年末調整の対象となる人(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2665.htm)
- 各種申告書・記載例(扶養控除等申告書など)(https://www.nta.go.jp/users/gensen/nencho/shinkokusyo/index.htm)
- 令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について(https://www.nta.go.jp/users/gensen/2026kiso/index.htm)
※制度・様式は変わることがあります。最新の情報は国税庁のサイト、または勤務先の担当部署にご確認ください。
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最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。


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