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49.年金だけで暮らせる?老後の収支を最新データで検証|毎月いくら足りないのか

5.老後のお金

「老後2,000万円問題」という言葉を覚えている方も多いと思います。あれから数年、実際のところ、今はどうなっているのでしょうか。

この記事では、総務省の最新の家計調査(2025年平均)をもとに、年金生活の実際の収入と支出を見ていきます。不安をあおるためではなく、数字を知って落ち着いて備えるための記事です。

✔ この記事でわかること

  • 年金生活の実際の収入と支出(最新データ)
  • 毎月いくら足りないのか、その差額
  • 夫婦世帯と単身世帯の違い
  • 65歳から30年間で、いくら必要になるか
  • 足りない分をどう埋めるか

✔ この記事の結論

  • 夫婦の年金生活は、手取り約22.2万円に対し生活費が約26.4万円。毎月約4.2万円の赤字
  • 単身の年金生活は、手取り約11.8万円に対し生活費が約14.8万円。毎月約3.0万円の赤字
  • 65歳から30年間で計算すると、夫婦で約1,527万円、単身で約1,079万円の不足
  • ただしこれは平均値。持ち家か賃貸か、健康状態で大きく変わる
  • 対策は「増やす」だけでなく「働く期間を延ばす」「年金を増やす」という選択肢もある

【最新データ】年金生活の実際の家計

総務省の家計調査(2025年平均)から、65歳以上の無職世帯の実際の収支を見てみましょう。

① 夫婦2人の年金生活

項目月額
① 入ってくるお金(年金など)254,395円
② 引かれるお金(税金・社会保険料)−32,850円
③ 実際に使えるお金(①−②)221,544円
④ 使っているお金(生活費)263,979円
⑤ 足りないお金(③−④)−42,434円

※年金からも税金や社会保険料が引かれます。手元に残るのは③の22万1,544円。これと生活費(④)の差が、毎月足りない金額です。

▼ 夫婦2人の年金生活は、毎月「約4.2万円」の赤字

手取り 22.2万円 - 生活費 26.4万円 = 毎月 約4.2万円が不足

② ひとり暮らしの年金生活

項目月額
① 入ってくるお金(年金など)131,456円
② 引かれるお金(税金・社会保険料)−12,990円
③ 実際に使えるお金(①−②)118,465円
④ 使っているお金(生活費)148,445円
⑤ 足りないお金(③−④)−29,980円

※こちらも、手取り③の11万8,465円と生活費④の14万8,445円の差が、毎月足りない金額です。

▼ ひとり暮らしの年金生活は、毎月「約3.0万円」の赤字

手取り 11.8万円 - 生活費 14.8万円 = 毎月 約3.0万円が不足

💡 どちらも収入より支出が多い状態です。その差は貯蓄から取り崩して埋めているということになります。

年齢が上がると、支出は減っていく

「ずっと赤字が続くの?」と不安になりますが、実は年齢が上がるにつれて支出は減っていきます。

世帯主の年齢可処分所得消費支出差額
65〜69歳245,710円296,997円−51,287円
70〜74歳248,599円285,844円−37,245円
75歳以上221,235円248,460円−27,225円

※二人以上の世帯のうち、65歳以上の無職世帯。

💡 65〜69歳がいちばん赤字が大きく、年齢とともに縮小していきます。退職直後は旅行や趣味などの活動が多く、加齢とともに外出や消費が減っていくためと考えられます。

30年間でいくら必要?

65歳から95歳までの30年間(360ヶ月)で計算してみます。

夫婦2人の場合

約42,434円 × 360ヶ月 = 約1,527万円

ひとり暮らしの場合

約29,980円 × 360ヶ月 = 約1,079万円

⚠️ ただし、これはあくまで「平均」です

この数字をそのまま自分に当てはめないでください。実際には次の要素で大きく変わります。

  • 持ち家か賃貸か:調査対象の持ち家率は9割以上。賃貸なら家賃の分がまるごと上乗せされます
  • 年金の額:現役時代の働き方で大きく違います
  • 健康状態:医療・介護の費用は人により差が大きい
  • 住む地域:物価や交通費が違います

「老後2,000万円問題」は今どうなった?

かつて話題になった2,000万円という数字は、当時の家計調査で「毎月約5.5万円の赤字 × 30年」から計算されたものでした。

最新データでは毎月約4.2万円なので、当時より赤字幅は縮小しています。ただし、これは「安心していい」という意味ではありません。

💡 大事なのは「いくら必要か」という平均値ではなく、「わが家はいくら足りないか」です。2,000万円も1,500万円も、あくまで他人の平均。自分の年金額と生活費で計算し直すことが必要です。

まずやること:自分の数字を知る

1.自分の年金見込み額を調べる

毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」に記載されています。50歳以上の方は、実際に受け取る見込み額が載っています。

※「ねんきんネット」に登録すれば、いつでもオンラインで確認できます。

2.今の生活費を把握する

3ヶ月分の銀行・カードの明細を見て、平均を出します。老後は現役時代の7〜8割程度になるのが一般的ですが、まずは今の数字から。

3.差額を計算する

「老後の生活費 − 年金見込み額 = 毎月の不足額」。これに老後の年数をかければ、必要な額が出ます。

→ ライフプランシートの作り方も活用してください。

足りない分を埋める4つの方法

「増やす」だけが答えではありません。方法は4つあります。

1.年金を増やす

受け取りを遅らせる「繰り下げ受給」を使えば、1ヶ月あたり0.7%ずつ、最大84%まで増やせます。しかも増えた額は一生続きます。

→ 年金の繰り下げ受給とは?/自営業の方は付加年金も

2.働く期間を延ばす

65歳以降も働けば、収入が増えるだけでなく貯蓄を取り崩す期間が短くなります。週数日のゆるやかな働き方でも効果は大きいです。

3.支出を見直す

老後の支出は、現役時代の固定費がそのまま残っていることが少なくありません。早いうちに固定費を見直しておくと、老後もその効果が続きます。

→ 固定費の見直し方法

4.資産を育てる

時間があるうちなら、新NISAなどで少しずつ育てる方法もあります。ただし生活防衛費を確保してからが鉄則です。

→ 新NISAの始め方/生活防衛費はいくら必要?

よくある質問

Q1:赤字と聞くと不安になります…

A:年金生活が赤字なのは、ほとんどの世帯に共通することです。だからこそ現役のうちに貯蓄をして、それを取り崩しながら暮らす設計になっています。「赤字=失敗」ではありません。

Q2:退職金があれば大丈夫ですか?

A:退職金の額によりますが、1,500万円前後の不足を退職金だけでまかなえる方もいます。ただし受け取り方によって税金が変わるので、そこも含めて計画してください。

Q3:賃貸だとどれくらい多く必要ですか?

A:調査対象の持ち家率は9割以上なので、家賃はほとんど含まれていません。家賃分をまるごと上乗せして考える必要があります。月8万円の家賃なら、30年で約2,880万円です。

Q4:医療や介護の費用は含まれていますか?

A:日常的な医療費は含まれていますが、大きな病気や介護施設の費用は別途と考えてください。ただし高額療養費制度などの公的な支えもあります。

→ 一生でかかる医療費は約3,000万円

Q5:今から始めても間に合いますか?

A:年齢によって使える方法は変わりますが、どの年齢でもできることはあります。50代なら固定費の見直しと繰り下げ受給の検討、60代なら働く期間を延ばす、というように。「もう遅い」ということはありません。

ポイント&まとめ

  • 年金生活の実際は、夫婦で毎月約4.2万円、単身で約3.0万円の赤字(2025年平均)
  • 30年間なら夫婦で約1,527万円、単身で約1,079万円の不足
  • 65〜69歳がいちばん赤字が大きく、年齢とともに支出は減る
  • ただし平均値。賃貸なら家賃分がまるごと上乗せになる
  • 大事なのは平均ではなく「わが家はいくら足りないか」
  • 対策は「増やす」だけでなく、年金を増やす・働く期間を延ばす・支出を見直すという選択肢もある

数字を見ると不安になるかもしれませんが、わかっていれば準備ができます。まずは「ねんきん定期便」を開いて、自分の年金額を確認するところから始めてみてください。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

【出典】総務省統計局

  • 家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果の概要(https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_gaikyo2025.pdf)

※数値は2025年平均の全国平均です。調査対象世帯の持ち家率は9割以上のため、賃貸の場合は家賃分が別途必要になります。個別の状況により必要額は大きく異なります。

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