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51.生命保険料控除は本当にお得?戻る税金を表で確認|「控除があるから入る」の落とし穴

4.保険

「生命保険に入ると控除が使えるから、その分お得だよ」——保険の相談でよく聞く言葉です。

たしかに生命保険料控除は実在する制度で、税金は安くなります。でも「いくら安くなるか」を計算したことはありますか?

この記事では、実際に戻ってくる金額を表で確認します。数字を見れば、「控除があるから入る」という考え方が正しいかどうか、自分で判断できるようになります。

✔ この記事でわかること

  • 生命保険料控除で実際に戻る税金の額(早見表)
  • 払った保険料と戻る金額の比較
  • 「控除があるからお得」がなぜ成り立たないのか
  • それでも保険が必要な場合の考え方

✔ この記事の結論

  • 控除されるのは「保険料」ではなく「所得」。払った額が戻るわけではない
  • 年8万円払っても、戻るのは年6,800円〜1万円程度(年収による)
  • つまり7万円以上は自己負担。得ではなく「少し割引された出費」
  • 控除には上限があり、たくさん払っても戻る額は増えない
  • 保険は「控除があるから」ではなく「必要だから」入るもの

まず、いちばん多い誤解から

⚠️ 「控除される=その金額が戻ってくる」ではありません

控除されるのは税金を計算するもとになる所得です。所得が減った結果、その分の税金が安くなるという仕組みです。

よくある勘違い

❌「4万円控除されるなら、4万円戻ってくる」

⭕「4万円分の所得が減るので、4万円 × 税率だけ税金が安くなる」

税率が10%の人なら、4万円 × 10% = 4,000円です。ここが出発点になります。

控除される金額の上限

まず、いくら控除されるのかを確認します。保険料をたくさん払っても、控除額には上限があります。

年間の払込保険料と控除額(所得税・新制度)

年間の払込保険料控除される額
2万円以下払った額の全額
2万円超〜4万円以下保険料 × 1/2 + 1万円
4万円超〜8万円以下保険料 × 1/4 + 2万円
8万円超一律4万円(これ以上増えない)

💡 年8万円を超えて払っても、控除額は4万円で頭打ちです。年20万円払っても、年50万円払っても、控除されるのは4万円のままです。

※住民税の控除額は上限2.8万円です。3つの区分(一般・介護医療・個人年金)の合計上限は、所得税12万円・住民税7万円です。

【本題】実際に戻ってくる金額は?

ここが一番知りたいところだと思います。年間8万円の保険料を払った場合で計算してみます。

このとき、所得税の控除額は4万円、住民税の控除額は2.8万円です。

課税所得
(年収の目安)
所得税率所得税の
軽減額
住民税の
軽減額
合計で
戻る額
195万円以下
(年収300万円台)
5%2,000円2,800円約4,800円
195〜330万円
(年収400〜600万円台)
10%4,000円2,800円約6,800円
330〜695万円
(年収700〜900万円台)
20%8,000円2,800円約10,800円
695〜900万円23%9,200円2,800円約12,000円

※住民税率は一律10%として計算。復興特別所得税は考慮していません。年収の目安は控除の状況により変わります。

払った額と、戻る額を並べてみる

先ほどの表を、「払った保険料」と比べてみましょう。

年収の目安払った保険料戻る税金実質の負担
年収300万円台80,000円約4,800円約75,200円
年収400〜600万円台80,000円約6,800円約73,200円
年収700〜900万円台80,000円約10,800円約69,200円

8万円払って、戻るのは

6,800円ほど(年収500万円の場合)

残りの7万3,000円は自己負担

💡 割引率にすると8.5%ほどです。「お得」というより、「少しだけ割引された出費」と表現するほうが正確です。

なぜ「控除があるからお得」が成り立たないのか

理由はシンプルです。

払う金額 > 戻る金額

この関係が、どんな年収でも変わらないからです。

もし本当に「お得」なら、保険に入れば入るほど手元のお金が増えるはずです。でも実際は、入るほどお金は減ります。

比べてみると

  • 保険に入る:8万円払って6,800円戻る → 手元は7万3,200円マイナス
  • 入らない:8万円を貯金 → 手元は8万円そのまま

お金だけで見れば、入らないほうが手元には残ります。

⚠️ 誤解しないでほしいこと

これは「保険に入るな」という意味ではありません。保険は「万一のときに家族を守る」ために入るものです。その価値と保険料を比べて納得できるなら、入る意味はあります。

問題なのは、「控除があるからお得」という理由だけで必要のない保険に入ってしまうことです。

さらに知っておきたい3つのこと

① たくさん払っても、控除は増えない

年8万円を超えると控除額は4万円で頭打ちです。月7,000円の保険も、月3万円の保険も、控除額は同じということです。

例:年収500万円の方

  • 年8万円の保険料 → 戻る額 約6,800円(実質負担 7.3万円)
  • 年30万円の保険料 → 戻る額 約6,800円(実質負担 29.3万円)

払った額が4倍近くになっても、戻る額は変わりません。

② 所得税を納めていない人には効果がない

控除は「納める税金を減らす」仕組みなので、そもそも税金を納めていない方にはメリットがありません。扶養内で働いている方などは、確認が必要です。

③ 年末調整で申告しないと、そもそも戻らない

控除証明書を添えて申告して、はじめて適用されます。書き忘れると戻るはずの数千円も戻りません。

→ 書き方は年末調整の書き方をやさしく解説で解説しています。

では、どう考えればいいのか

  1. まず公的保障を知る
    健康保険には高額療養費制度があり、ひと月の医療費の自己負担には上限があります。万一のときには遺族年金もあります
  2. 足りない分を計算する
    公的保障でカバーできない金額がいくらかを出します
  3. 貯蓄で足りるか考える
    貯蓄があるなら、保険は不要かもしれません
  4. 足りない期間だけ、必要な分だけ保険を使う
    子どもが小さいなど、どうしても備えが必要な時期に限って検討します

💡 この順番で考えると、「控除があるから」という理由は出てきません。控除は、保険に入った結果おまけでついてくるものであって、入る理由にはならないのです。

→ 公的保障については一生でかかる医療費は約3,000万円、遺族年金とは?残された家族はいくらもらえるで解説しています。

よくある質問

Q1:じゃあ控除は使わないほうがいいのですか?

A:いいえ。すでに保険に入っているなら、控除は必ず使ってください。使わない理由はありません。問題なのは「控除のために入る」ことです。

Q2:貯蓄型の保険なら、お金が戻るのでお得では?

A:貯蓄型は保険料が高く、途中で解約すると元本割れすることが多いです。「保障」と「貯蓄」を一つにまとめると、どちらも中途半端になりがちです。分けて考えるほうがわかりやすくなります。

Q3:個人年金保険は控除の枠が別なので、入る価値はありますか?

A:控除の枠は別ですが、考え方は同じです。戻る税金より払う保険料のほうが多いという関係は変わりません。老後資金を準備したいなら、他の方法と比べてから判断してください。

Q4:保険の担当者に「控除でお得」と言われました

A:制度の説明としては間違っていません。ただし「いくら戻るのか」を必ず確認してください。この記事の表と照らし合わせれば、金額の感覚がつかめます。

Q5:すでに入っている保険はどうすれば?

A:あわてて解約する必要はありません。「この保険は何のために入ったのか」を確認するところから始めてください。必要な保障なら続ければよく、必要ないと感じたら見直しを検討します。

ポイント&まとめ

  • 控除されるのは所得。払った保険料が戻るわけではない
  • 年8万円払っても、戻るのは約4,800〜12,000円(年収による)
  • 残りの7万円前後は自己負担。割引率にすると1割弱
  • 年8万円を超えると控除額は頭打ち。払っても戻る額は増えない
  • 「払う額 > 戻る額」はどんな年収でも変わらない
  • 保険は「控除があるから」ではなく「必要だから」入るもの
  • すでに入っているなら、控除は必ず申告する

控除は、保険に入る理由にはなりません。まず公的保障を知り、足りない分を確認する。その順番で考えれば、本当に必要な保険だけを選べるようになります。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

【出典】国税庁

  • No.1140 生命保険料控除(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1140.htm)
  • No.2260 所得税の税率(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm)

※本記事の計算は概算です。復興特別所得税は考慮していません。控除額・税率は制度改正により変わることがあります。個別の金額については、お手元の控除証明書と源泉徴収票でご確認ください。

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