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37.【2026年8月改正】高額療養費制度はどう変わった?改正前と比較してやさしく解説

6.税金・制度

2026年8月から、高額療養費制度の自己負担限度額が見直されました。「負担が増えるの?」「うちはいくら変わるの?」と気になっている方も多いと思います。

結論から言うと、月ごとの上限は上がりましたが、新しく「年間上限」ができて助かる人もいます。この記事では、改正前と改正後を並べて比較しながら、やさしく解説します。

✔ この記事でわかること

  • 改正前と改正後の限度額を比べた早見表
  • あなたの年収なら、いくら負担が増えるのか
  • 新しくできた「年間上限」という救済の仕組み
  • 据え置かれた部分(長期治療の方への配慮)
  • 2027年8月の次の改正で何が起きるか

✔ この記事の結論

  • 月ごとの上限額は、どの所得区分でも数千円〜1万円台の引き上げ
  • ただし「多数回該当」(4ヶ月目以降)の金額は据え置き。長期治療の方への配慮
  • 新しく「年間上限」ができ、年単位で負担に歯止めがかかるようになった
  • 年収約370〜770万円なら、年間53万円が上限
  • 2027年8月には所得区分がさらに細かく分かれ、高所得層の負担が増える

そもそも高額療養費制度とは

ひと月の医療費の自己負担が高額になったとき、収入に応じた上限額を超えた分が戻ってくる健康保険の制度です。

入院や手術で医療費が100万円かかっても、窓口3割負担の30万円をそのまま払うわけではなく、上限額(例:約9万円)で済みます。日本の医療保険の、いちばん心強い部分です。

※制度の基本は記事16番「高額療養費制度とは?」、医療費控除との違いは記事32番で解説しています。

【比較表】改正前と改正後はこう変わった(70歳未満)

いちばん知りたいところから見ていきましょう。月ごとの上限額(1〜3ヶ月目)の比較です。

年収の目安改正前
(〜2026年7月)
改正後
(2026年8月〜)
差額
約1,160万円〜252,600円+1%270,300円+1%+17,700円
約770〜1,160万円167,400円+1%179,100円+1%+11,700円
約370〜770万円80,100円+1%85,800円+1%+5,700円
〜約370万円57,600円61,500円+3,900円
住民税非課税35,400円36,900円+1,500円

※「+1%」は、限度額を超えた医療費の1%が上乗せされるという意味です。

💡 いちばん人数の多い「年収約370〜770万円」の方は、月あたり5,700円の負担増です。所得が高い区分ほど引き上げ幅が大きく、低い区分ほど小さく抑えられています。

据え置かれた部分もあります(長期治療の方への配慮)

今回の改正で大事なのは、「多数回該当」の金額が据え置かれたことです。

多数回該当とは、直近12ヶ月で3回以上高額療養費に該当した場合、4ヶ月目からは上限額がさらに下がる仕組みのこと。長く治療が続く方を守るための制度です。

年収の目安多数回該当(4ヶ月目〜)改正での変化
約1,160万円〜140,100円据え置き
約770〜1,160万円93,000円据え置き
約370〜770万円44,400円据え置き
〜約370万円44,400円据え置き
住民税非課税24,600円据え置き

✅ ここが安心ポイント

がん治療や透析など、長期にわたって治療が続く方の負担は増えていません。「重い病気になったら負担が跳ね上がる」という制度にはなっていない、ということです。

【新設】「年間上限」ができました

今回の改正でいちばん新しいのが、「年間上限」の導入です。

どういう仕組み?

これまでは「ひと月ごと」の上限しかありませんでした。そのため、毎月そこそこ医療費がかかるけれど、上限には届かないという方は、いくら年間で払っても救済されませんでした。

そこで、1年間(8月〜翌年7月)の自己負担の合計にも上限を設けることになりました。上限に達すると、それ以降の負担分は保険者から払い戻されます。

年収の目安年間上限額
約1,160万円〜1,680,000円
約770〜1,160万円1,110,000円
約370〜770万円530,000円
〜約370万円530,000円
住民税非課税290,000円

例:年収約600万円の方が、高額な薬を1ヶ月だけ使った場合

改正前:年間の自己負担 約57.3万円

改正後:年間上限53万円が適用 → 約4.3万円の負担減

※厚生労働省の試算例より。

⚠️ 年間上限には「自分から申し出る」必要があります

年間上限は、当面のあいだ患者本人からの申し出を前提とした運用で始まります。つまり、黙っていると払い戻されない可能性があります。医療費がかさんだ年は、加入している健康保険(協会けんぽ・健保組合・市区町村)に問い合わせてみてください。

結局、負担は増えるの?減るの?

人によって答えが変わります。整理すると次のとおりです。

こんな方影響
単発の入院・手術で、1〜3ヶ月だけ高額負担が増える(月数千円〜1万円台)
4ヶ月以上続く長期治療変わらない(多数回該当は据え置き)
毎月そこそこ医療費がかかるが上限に届かない年間上限で負担が減る可能性あり
医療費がほとんどかからない影響なし

2027年8月には、さらに変わります

今回の改正は第1段階です。2027年8月からは所得区分がさらに細かく分かれます

これまでは「年収約370万円の人」と「年収約770万円の人」が同じ区分でしたが、これが分かれ、収入に応じたきめ細かい負担になります。

💡 大きく変わるのは高所得層です。たとえば年収約1,650万円以上の区分では、月額上限が342,000円+1%まで引き上げられる予定です。一方で、年収約200万円未満の方は多数回該当の金額が引き下げられる(負担が軽くなる)など、低所得層への配慮も入っています。

今、私たちにできること

  1. 自分の所得区分を知っておく:上の表で、自分がどこに当てはまるか確認しておきましょう
  2. マイナ保険証を使えるようにしておく:窓口での支払いが最初から上限額までになり、後から払い戻しを待つ必要がなくなります
  3. 医療費がかさんだ年は健康保険に相談する:年間上限は申し出が前提。黙っていると受け取れないことがあります
  4. あわてて民間保険に入らない:上限額が数千円上がったからといって、月々の保険料を何千円も払う保険に入ると、かえって家計を圧迫します。まずは公的制度の中身を正しく知ることが先です
  5. 医療費の領収書はとっておく:年間の医療費が10万円を超えたら、医療費控除で税金が戻る可能性があります(記事32番参照)

よくある質問

Q1:2026年8月より前の入院分はどうなりますか?

A:2026年7月までの分は改正前の限度額が適用されます。8月以降の診療分から新しい金額になります。

Q2:年間上限の「1年」はいつからいつまで?

A:8月から翌年7月までです。1月〜12月ではないので注意してください。

Q3:家族の医療費は合算できますか?

A:同じ健康保険に加入している家族であれば、一定の条件のもとで合算できます(世帯合算)。詳しくは加入先の健康保険にご確認ください。

Q4:民間の医療保険に入るべきでしょうか?

A:今回の改正で増えるのは月あたり数千円〜1万円台です。一方で医療保険の保険料は、加入している間ずっと払い続けることになります。まずは公的制度でどこまで守られるかを知り、足りない分は貯蓄で備えるという順番で考えるのがおすすめです。(記事17番「生涯医療費の自己負担」もあわせてご覧ください)

ポイント&まとめ

  • 2026年8月から、高額療養費の月額上限が引き上げられた(年収約370〜770万円なら+5,700円)
  • 多数回該当(4ヶ月目〜)は据え置き。長期治療の方の負担は増えていない
  • 新しく「年間上限」が導入され、年単位でも歯止めがかかるようになった
  • 年間上限は申し出が前提。医療費がかさんだら健康保険に相談を
  • 2027年8月には所得区分が細分化され、高所得層の負担がさらに増える
  • 負担増を不安に思って保険に飛びつく前に、まず公的制度の中身を知ることが大切

制度は変わっても、「日本の公的医療保険が心強い」という事実は変わりません。正しく知って、落ち着いて備えていきましょう。

【出典】

  • 厚生労働省「高額療養費制度の見直しについて」(第209回社会保障審議会医療保険部会 資料)
  • 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html)

※本記事は70歳未満の方の限度額を中心に解説しています。70歳以上の方は別の基準(外来特例など)があります。制度は変わることがあるため、最新かつ個別の内容は厚生労働省のサイト、または加入している健康保険にご確認ください。

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最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

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