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「医療費がたくさんかかったら、医療費控除?それとも高額療養費?」——名前が似ていて混同しやすいこの2つの制度、実はまったく別の仕組みです。この記事では、2つの制度の違いを比較しながら、「自分はどちらが使えるのか」「併用はできるのか」をやさしく解説します。
✔ この記事でわかること
- 医療費控除と高額療養費制度の根本的な違い
- それぞれの対象・申請先・戻ってくるお金の違い
- どちらが使えるかの判断基準
- 2つの制度を併用するときの注意点
✔ この記事の結論
- 高額療養費制度=「健康保険」の制度。1ヶ月の医療費の自己負担に上限を設ける仕組み
- 医療費控除=「税金」の制度。1年間の医療費が多かった年に、税金の一部が戻る仕組み
- 先に使うべきは高額療養費制度。医療費控除はその後(年単位)で検討する
- 2つは併用できる。ただし高額療養費で戻ったお金は、医療費控除の計算から差し引く
- どちらも「知らないと使えない」制度。仕組みだけでも覚えておくと安心
まず結論:2つはこう違う
| 高額療養費制度 | 医療費控除 | |
|---|---|---|
| 制度の種類 | 健康保険の制度 | 税金(所得税・住民税)の制度 |
| 何が起きる? | 1ヶ月の自己負担に上限ができ、超えた分が戻る | 払った医療費に応じて税金の一部が戻る |
| 期間の単位 | 1ヶ月(月初〜月末) | 1年(1月〜12月) |
| 対象 | 保険がきく医療費(保険診療) | 保険外も含む幅広い医療費(通院の交通費なども) |
| 申請先 | 加入している健康保険(健保組合・協会けんぽ・市町村) | 税務署(確定申告) |
| 使う場面 | 入院・手術などで1ヶ月の医療費が高額になったとき | 1年間の医療費の合計が多かったとき |
💡 ひとことで言うと:高額療養費制度は「その月の支払いを抑えるブレーキ」、医療費控除は「1年の医療費を振り返って税金を取り戻す精算」です。
高額療養費制度とは(ざっくりおさらい)
高額療養費制度は、1ヶ月の医療費の自己負担額が、収入に応じた上限額を超えた場合に、超えた分が戻ってくる健康保険の制度です。
例:70歳未満・年収約370〜770万円の方が、1ヶ月に100万円の医療費がかかった場合(窓口負担3割=30万円)
→ 高額療養費制度により、実際の自己負担は約8.7万円で済みます。
知っておきたいポイント
- マイナ保険証を使えば、窓口での支払いが最初から上限額までになり、後から払い戻しを待つ必要がありません(限度額適用認定証の事前入手でも同じ)
- 直近12ヶ月で3回以上該当すると、4回目からは上限額がさらに下がる「多数回該当」という軽減もあります
- 対象は「保険がきく診療」のみ。差額ベッド代・先進医療・入院中の食事代などは対象外です
※上限額の詳細や2026年8月の改正内容は、記事16番「高額療養費制度とは?」で詳しく解説しています。
医療費控除とは(ざっくりおさらい)
医療費控除は、1年間(1月〜12月)に支払った医療費が一定額を超えた場合、確定申告をすると税金の一部が戻ってくる税金の制度です。
医療費控除の額 = 1年間の医療費 − 保険金などで戻った額 − 10万円
※年間所得200万円未満の方は「10万円」ではなく「所得の5%」。控除の上限は200万円。
例:1年間の医療費が30万円、保険などで戻った額が5万円の場合
30万円 − 5万円 − 10万円 = 15万円が医療費控除の額
→ この15万円に税率をかけた分だけ、税金が安くなります(戻る額は収入によって変わります)。
知っておきたいポイント
- 「医療費控除の額がそのまま戻る」のではなく、その金額×税率分の税金が安くなる仕組みです
- 生計を同じくする家族の分をまとめて申告できます(家族全員分を合算するのがコツ)
- 通院のための交通費(電車・バス)、薬局で買った治療目的の市販薬なども対象になります
- 申請は確定申告で。「医療費控除の明細書」を添えて税務署に提出します
- 市販薬の購入が多い方向けに「セルフメディケーション税制」という選択肢もあります(医療費控除との併用は不可・どちらか一方)
どちらが使える?判断チャート
Q1:1ヶ月の医療費の自己負担が高額になった(なりそう)
→ まず高額療養費制度。入院や手術が決まったら、マイナ保険証の利用(または限度額適用認定証の入手)を最優先で。
Q2:1年間の医療費を合計したら10万円を超えていた
→ 医療費控除を検討。家族全員分の領収書・明細を集めて確定申告を。
Q3:両方あてはまる
→ 併用できます。ただし次の注意点を必ず確認してください。
併用するときの大事な注意点
⚠️ 高額療養費で戻ったお金は、医療費控除の計算から差し引く
医療費控除の計算式にある「保険金などで戻った額」には、高額療養費として払い戻された金額も含まれます。差し引かずに申告すると、控除額が過大になってしまいます。
例:入院で1年間の医療費が50万円。高額療養費で20万円が戻ってきた場合
50万円 − 20万円(高額療養費)− 10万円 = 医療費控除の額は20万円
よくある質問
Q1:高額療養費制度は申請しないともらえない?
A:原則、申請が必要です。ただしマイナ保険証を使えば、窓口での支払いそのものが上限額までになるため、後からの申請が不要になります。加入している健康保険によっては自動的に払い戻される場合もあるので、確認してみてください。
Q2:医療費控除は会社の年末調整でできる?
A:できません。医療費控除は自分で確定申告する必要があります。会社員の方でも、この控除を使う年だけは確定申告が必要です。スマホからでも申告できます。
Q3:領収書は取っておくべき?
A:はい。医療費控除の申告では「医療費控除の明細書」を提出しますが、領収書は5年間の保存が必要です(税務署から確認を求められることがあります)。健康保険から届く「医療費のお知らせ」も活用できます。
Q4:医療費が高額になりそう。民間の医療保険に入るべき?
A:この記事で見たとおり、公的制度だけでも医療費の自己負担にはしっかり上限があります。まずは高額療養費制度と医療費控除という「すでに持っている保障」を正しく使うこと、そして貯蓄で備えることを優先して考えるのがおすすめです。(記事17番「生涯医療費の自己負担」も参考にしてください)
ポイント&まとめ
医療費控除と高額療養費制度は、名前は似ていても「税金の制度」と「健康保険の制度」というまったく別の仕組みです。違いがわかれば、使い分けはシンプルです。
- 高額療養費制度=1ヶ月の自己負担に上限。入院・手術のときは最優先で(マイナ保険証が便利)
- 医療費控除=1年間の医療費が多かったら確定申告で税金を取り戻す
- 2つは併用OK。ただし高額療養費で戻った分は医療費控除の計算から差し引く
- 家族の医療費は合算できるので、領収書・お知らせは1か所にまとめて保管
- どちらも「知っているだけでお金が戻る」制度。この機会にぜひ覚えてください
医療費の不安は、制度を知ることでぐっと小さくなります。まずは今年の医療費の領収書を、ひとつの封筒にまとめるところから始めてみてください。
【出典】
- 国税庁 タックスアンサー No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm)
- 厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html)
※制度の内容は変わることがあります。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。
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