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44.遺言書の基礎|自分で書ける?法務局に預ける制度とは?をやさしく解説

6.税金・制度

「遺言書なんて、お金持ちが書くもの」——そう思っていませんか?

実は相続でもめる原因の多くは、財産の多さではなく「誰が何を受け取るか決まっていないこと」です。遺言書は、残された家族が困らないようにするための手紙のようなもの。この記事では、自分で書ける遺言書の基本と、法務局に預けられる制度を解説します。

✔ この記事でわかること

  • 遺言書の種類と、どれを選べばいいか
  • 自分で書く遺言書のルール(間違えると無効に)
  • 法務局に預けられる制度(手数料3,900円)
  • 遺言書があっても変えられない「遺留分」のこと

✔ この記事の結論

  • 遺言書は主に「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類
  • 自分で書くなら、本文・日付・氏名を手書き+押印が必須
  • 財産目録だけはパソコンで作ってもOK
  • 法務局に預ければ3,900円で、紛失や改ざんの心配がなくなる
  • 法務局に預けた遺言書は家庭裁判所の検認が不要
  • 一定の相続人には最低限の取り分(遺留分)があり、遺言でも奪えない

そもそも遺言書は何のために書く?

遺言書がないと、財産は相続人全員の話し合い(遺産分割協議)で分けることになります。全員の合意が必要なので、1人でも反対すると手続きが進みません。

遺言書があれば、こんなことができます。

  • 「自宅は妻に、預金は子どもたちで」と分け方を指定できる
  • 法定相続人以外(お世話になった人など)にも財産を渡せる
  • 家族が話し合う負担を減らせる

💡 特に書いておいたほうがよい方

  • 子どもがいない夫婦(配偶者と、亡くなった方の兄弟姉妹が相続人になることがある)
  • 不動産が財産の大部分を占める(分けにくいのでもめやすい)
  • 相続人どうしの関係が疎遠
  • 再婚していて、前の配偶者との間に子どもがいる

相続の基本的な仕組みは相続の基礎の基礎の記事で解説しています。

遺言書の種類は主に2つ

自筆証書遺言公正証書遺言
作り方自分で手書きする公証人に作ってもらう
費用0円(法務局に預けるなら3,900円)財産額に応じた手数料
証人不要2人必要
無効になるリスクあり(書き方の不備)ほぼない
向いている人まず1通用意しておきたい方財産が多い・確実性を重視する方

💡 迷ったら:まずは自筆証書遺言を書いて法務局に預けるのが、費用も手間も抑えられます。財産が多い、内容が複雑という場合は公正証書遺言を検討してください。

自分で書く遺言書のルール

自筆証書遺言には、守らないと無効になるルールがあります。

✅ 必ず守ること

  1. 本文をすべて手書きする(パソコン・代筆はNG)
  2. 日付を書く(「令和8年8月吉日」のような曖昧な書き方はNG)
  3. 氏名を書く
  4. 印鑑を押す

💡 例外:財産目録はパソコンでOK
「どの財産を」の一覧表(財産目録)だけは、パソコンで作ったり、通帳のコピーを添付したりできます。ただし、各ページに署名・押印が必要です。

⚠️ よくある無効になる書き方

  • パソコンで作成した(本文は手書きが必須)
  • 日付が「8月吉日」など特定できない
  • 押印がない
  • 誰に何を渡すのかが曖昧(「長男に適当に分けてほしい」など)
  • 訂正の仕方が法律のルールと違う → 書き直すのが安全です

法務局に預ける制度(自筆証書遺言書保管制度)

2020年7月に始まった制度で、自分で書いた遺言書を法務局が保管してくれます。

4つのメリット

  1. 紛失・改ざんの心配がない
    自宅保管だと、なくす・捨てられる・書き換えられるリスクがあります
  2. 家庭裁判所の検認が不要
    通常の自筆証書遺言は、開封前に家庭裁判所の手続き(検認)が必要ですが、法務局保管なら不要です。残された家族の手間が大きく減ります
  3. 形式のチェックを受けられる
    預けるときに、様式に合っているかを確認してもらえます(※内容が有効かどうかの保証ではありません)
  4. 長期間保管される
    原本は死亡後50年間、画像データは150年間保管されます

費用と手続き

項目内容
手数料1件につき3,900円
申請できる人遺言者本人のみ(代理人不可)
場所全国の法務局(遺言書保管所)
予約必要
持ち物遺言書、申請書、本人確認書類、住民票など

1遺言書を書く

この制度専用の様式(余白のサイズなど)が決まっています。法務省のサイトで確認してから書きましょう。

2法務局に予約する

法務局のホームページか電話で予約します。

3本人が持参して申請する

必ず本人が行きます。手数料3,900円を納めて完了です。

💡 15歳以上であれば、誰でも自分ひとりで遺言書を作成できます。専門家に頼まなくても始められる制度です。

遺言書でも変えられない「遺留分」

遺言書は強い効力を持ちますが、すべてを自由に決められるわけではありません。

配偶者・子ども・(場合によっては)親には、遺留分という最低限の取り分が法律で保障されています。

例:「全財産を長男に相続させる」という遺言書を書いた場合

→ 他の相続人は、遺留分に相当する金額を長男に請求できます

→ 結果として、かえってもめる原因になることも

⚠️ 極端に偏った内容は避ける

特定の一人に全部渡す、という遺言はトラブルのもとです。遺留分を意識した配分にするか、なぜそう分けるのかを付言(メッセージ)として書き添えると、家族の納得が得られやすくなります。

書く前にやっておくこと

1. 財産の一覧を作る

預貯金・不動産・株や投資信託・保険・借入金まで書き出します。これがないと、そもそも分け方を決められません。

→ ライフプランシートの記事も財産の整理に役立ちます。

2. 相続人を確認する

誰が相続人になるかを整理します。子どもがいない夫婦の場合、配偶者と兄弟姉妹が相続人になることがあり、遺言書の必要性が高くなります。

3. 家族と話しておく

遺言書は「サプライズ」にしないほうが、もめません。元気なうちに、財産のありかや考えを共有しておきましょう。

よくある質問

Q1:遺言書は何度でも書き直せますか?

A:はい。日付の新しいものが優先されます。法務局に預けた場合は、撤回や新しい遺言書への差し替えの手続きが必要です。

Q2:エンディングノートでも代わりになりますか?

A:なりません。エンディングノートは法的な効力がないため、財産の分け方を確実に実現したいなら遺言書が必要です。ただし、想いや希望を伝える手段としては有効なので、併用するとよいでしょう。

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Q3:夫婦で1通の遺言書を書いてもいい?

A:できません。2人以上が同じ書面で作った遺言は無効です。夫婦それぞれが別々に作成してください。

Q4:法務局に預けたことを家族はどうやって知るのですか?

A:亡くなったあと、相続人が法務局に照会すれば確認できます。また、あらかじめ指定した人に法務局から通知が届く仕組みもあります。家族に「法務局に預けてある」と伝えておくのが確実です。

Q5:内容に不安があります

A:法務局は様式のチェックはしますが、内容が適切かまでは判断しません。財産が複雑な場合や不安がある場合は、弁護士・司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

ポイント&まとめ

  • 遺言書は「財産が多い人のもの」ではなく、家族が困らないようにするための準備
  • 自分で書くなら本文・日付・氏名を手書き+押印。財産目録だけパソコン可
  • 「令和8年8月吉日」のような日付は無効になる
  • 法務局に3,900円で預けられる。紛失・改ざんを防げて、検認も不要に
  • 遺留分があるため、極端に偏った内容は避ける
  • 夫婦で1通はNG。それぞれ別に作る
  • まずは財産の一覧を作るところから

遺言書は、家族への最後の思いやりです。完璧なものを目指さず、まずは1通書いてみることから始めてみてください。書き直しはいつでもできます。

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【出典】法務省

  • 自筆証書遺言書保管制度について(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html)
  • 自筆証書遺言書保管制度の手数料(https://www.moj.go.jp/MINJI/09.html)

※制度の内容や手数料は変わることがあります。最新の情報は法務省・法務局のサイトでご確認ください。個別の内容については専門家にご相談ください。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

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